幕が上がる (講談社文庫)あまなつShopあまなつで見る同じレイアウトで作成
ごめんなさい、ごめんなさい、誘惑に負けて文庫版の「幕が上がる」を入手して一気に読んでしまいました。
3時間ぐらいかな?
アマゾンではオリザ版の表紙になってますが実際に店頭で並んでる文庫はオリザ版の表紙の上に更にももクロ版の表紙がカバーされている豪華ダブルカバー仕様になっています。
思ったより時間がかかったのは作中に出てくる銀河鉄道の夜を思い出し、思い出し読んでいたからでしょう。
さて、感想を書きたい所ですが映画の公開までは読まないとか余計な情報を入れたくないって方もいらしゃる様なのでこれ以降の文章はネタバレを含むと思われるのでネタバレが嫌な方はここで読むのを辞めてください。
まあ、映画と原作が同じになるかは今のところ神のみぞ知るって感じですが…。
<警告>これ以上はネタバレを含みます<警告>

さて、警告もしたのでネタバレなんて言わないでね。
まず、最初に読んで思うのはビックリするぐらいももクロのメンバーにあった配役になってる事。
最初からももクロを意識して書いたのではと疑ってしまうぐらいピッタリな配役ですね。
しいて言えば主人公のさおりが頭がいい設定なのでリーダーは…、いや、何でも無い…。

まあ、そう言った感じなんで役作りは比較的やりやすいのかもしれないし、近くて逆に難しいのかも知れない。
ストーリー的にはある意味ウォーターボーイズとかスイングガール的なモノとも言えるんだけど、実は映画的な劇的な展開は終盤まではない。
元から演劇部があってそこに元学生演劇の女王と呼ばれた新任の新人教師が出てくるんだけどこれも劇的な登場という訳ではない。
転入生である中西さんの登場も劇的な登場という訳ではなく、徐々に溶けこんでいく感じ。
この辺はやっぱり映画だと劇的な登場になるのかなぁ?

トレーラーでは夏菜子演じるさおりが杏果演じる中西さんをフードコートで誘うシーンがあるけど原作ではあんなシーンは無いよね。
まあ、小説的表現と映画的表現の違いと言えばそれまでだけど…。

結構、原作は淡々とストーリーが進んで行きます。
これはウォーターボーイズとかスイングガールの主役がある意味、プレーヤーを主人公にしているのに対して、主人公が演出、脚本という裏方である事が影響してるのは間違いないでしょう。
学生演劇の女王と言われた顧問、ライバル校の主演女優級の転入、一年で全国レベルになってしまうなど、ご都合主義も観られるものの、高校生演劇はこうなってるということを丁寧に描写している。

個人的には主人公達が小劇場見に行き過ぎのような気がするけど、高校の演劇部の人って小劇場なんて見に行くんだろうか?
高校の頃の知り合いの演劇部の女の子は演劇の雑誌を毎月読んでいて情報に関してはある程度詳しかった様だけど実際に見に行くには高校生には小劇場は敷居が高かったように記憶してるけど…。
私の頃は野田秀樹とか、第三舞台の鴻上尚史とか…。
最近は違うのかなぁ。
そう言えば小劇場なんて観に行ったことは無いのになぜか鴻上尚史の初期の戯曲とか読んでたなぁ。
なんでだろう?もう読んだキッカケすら忘れてしまった(笑)、多分流行りものだったから読んだのかな?。

まあ、劇的な展開がないからこそ(終盤にはあるけど)リアルな青春ストーリーって感じかな。
自分の青春時代を思い起こしたって大抵の人は劇的な展開なんてないけど、やっぱり青春時代は特別な物だよね。

終盤に、物語のキーになってくるのは劇中劇にも出てくる「銀河鉄道の夜」は出来れば「幕が上がる」原作を読んだり、映画の前に読んでいたほうがいいかも知れない。
でも、「銀河鉄道の夜」自体は結構難解な物語なんだよね。
正直、初めて読んだ時は全く訳が判らなかった。
確か「銀河鉄道の夜」って宮沢賢治が無くなったあと、決定稿ではなく、散逸していた原稿を遺族がまとめたので矛盾する事も多く、どの解釈が正しいのかは実は闇の中だったりする。

「幕が上がる」の中でもいくつかの解釈がされてるがもちろんそれが正しい訳ではない。
しかし、演劇の場合、上映された回数だけの真実がそこにあるって事なんでしょう。
そうは言っても終盤の宇宙の膨張論や相対性理論を使った解釈は見事の一言。

あ、そうだ、もう一つ読んで置いたほうがいい本がもう一つ。
終盤にさおりの母がさおりに渡す漫画、紡木たくの「みんなで卒業をうたおう」
少女漫画なんてほとんど読まない管理人ですが、本屋の店長時代にアルバイトの女子高生に泣けるから読んでみてと言われ「みんなで卒業をうたおう」と「ホットロード」は読まされたっけ…。
その時はポエム少女と暴走族や不良の組み合わせはよく判らなかったけど、今考えると汚いものを排除した青春そのものって感じだねぇ。
「みんなで卒業をうたおう」は卒業する先輩たちと学校に残される少女の対比が切ない話だったよねぇ。
あの漫画は主人公や3年生が読むより明美ちゃんに読ませてあげたいなぁ。

高城れにそれにしても、ガルルとれにちゃんのシンクロ率は99%ぐらいあるでしょ。
今回、原作を読んだけど完全に頭の中ではももクロで映像化出来ましたね。
気になるのは「わび助」ですねぇ。
映画にはわび助は出るのかな?
トレーラーだけ観てると女子部員しかいないように見えるんだけど…。

舞台版では、銀河鉄道の夜の部分が映画版よりきっと増えるんでしょうねぇ。
映画とはまた違った筋肉を使うだろうからまたももクロちゃんは大変だ。
大人たちは目に見える壁は作ってくれ無くなったけど、近くで見たんじゃ判らないような山を彼女たちの道筋に置いているんだよなぁ。
まあ、彼女たちならきっと笑いながら登っちゃうんだろうけどね(笑)。