まず以下の文章にはネタバレが含まれてるかも知れません。
ネタバレが嫌な人は読むのを辞めたほうが良いかと思われます。


映画『幕が上がる』公式サイト
トップアイドルグループ・ももいろクローバーZ。 彼女たちが成長を遂げるために立ち向かった新たなる挑戦は…”映画”。 2014年初夏。映画の撮影に備え、ほぼ演技未経験の彼女たちは、超多忙な生活を送る中、映画の原作者でもあり演出家の平田オリザ氏のワークショップを受け、”演じる”ということを徹底的に体に叩き込まれる。セリフ、動き、感情をコントロールしながらも、当然のごとく自然体でなければならない。慣れないことばかりの連続は、自分との戦い。不安を抱えながらも、その日、撮影初日がやってくる。普段は何万人もの観客を前にパフォーマンスをする彼女たちでも、いつもとは違う緊張感のもと一台のカメラの前に立つ。悪戦苦闘しながらも演じることの奥深さを身をもって感じていく日々。笑顔の裏にある涙、悔しさ、葛藤…。彼女たちが駆け抜けたひと夏の、もう一つの姿を追ったリアルな物語。。。 ...
幕が上がる 演出ノート&台本ノートセットあまなつShopあまなつで見る同じレイアウトで作成
まず、この映画「幕が上がる」が静岡という土地で撮影された事は夏菜子の出身地であること以上に意味があると思う。
余程の山奥や離島でもない限りは今の日本の地方は、田舎ではなく、郊外化が進んでいると思う。
主人公の住んでいる街は高校もあるし、工場もあり、フードコートを有するショッピングセンターもある。
そこに置いてある商品はまるで東京と同じものが置いてあるようだ。
静岡という土地柄、よくマーケティングのサンプルとして使われるほど、そこは日本の平均値で一見、そこでは満ち足りた日常があるように見えるけど、本物のほとんどのモノはやはり東京にある事を若者たちは知っている。
本当の本物を手に入れるためにはやはり東京というのは昔から変わっていない事実だ。

主人公の5人の内4人は高校3年生という設定は進路というものに揺れる年齢でもある。
そんなところに新任の教師が現れ、本物を少女たちに見せる。
その本物の背後にあるのは東京という憧れの暗喩だと思う。
そして新任教師は少女たちを東京に連れて行く。
そこにあるのは新任教師が挫折したキラキラした東京という毎日。
この辺は新宿のビル街を観せた銀河の星に見立てて紹介したシーンが象徴的。
そこには希望、夢、憧れなどが当たり前の様に転がっている。
そして、少女たちは覚醒して行き、挫折した新任教師でさえもう一度、夢を求めて旅立ってしまう。
一年後輩の明美ちゃんはともかく、元から看護婦志望のがるる以外の3人は劇中で東京に言って演劇に関わる事を示唆している。
言い方が悪いけどこの「幕が上がる」東京(都会でもいいかも)に憧れている田舎者の物語だ。
別に特別な話ではなく、地方出身者であれば当たり前のように一度は東京(都会)に憧れる。
がるるがなぜ、ひとり進路として演劇を選ばず、看護師を選ぶんだろう?
それはきっと彼女が一番のお調子者に見えて学校、部活、バイト、家族(介護を含め)と地域とコミュニケーションを取って居たのからかも知れませんね。
だからこそ、彼女は看護師として地元に残るのかも知れません。

そんな事をレイトショーが終わって薄暗くなった大規模ショッピングセンターのシネコンから出て、何もない郊外の景色を観ながら思いました。

百田夏菜子2うーん、なるたけネタバレ無しで書いてみたつもりだけどやっぱりネタバレになっちゃうねぇ…(^^ゞ
ももクロちゃん達の演技には正直驚いた。
思っていたよりももクロからさおり、ユッコ、ガルル、中西さん、明美ちゃんにスムーズに入り込む事が出来た。
このブログを読むようなモノノフの人は怒るかも知れないけど最後の青春賦以外の楽曲は正直映画には要らなかったと思った。
折角、さおりやユッコに感情移入して観ていてもももクロである事に強引に引き戻されてしまう感じ。
伊集院光もももクロが好きとか嫌いではなく、ももクロの楽曲ではなく普通のクラッシクか何かで観たかったって言うのはよく判るような気がします。
まあ、映画だからそう感じたのかも知れないけれど…、意外とテレビなどでCMが入る場合はももクロの曲があったほうがリズム的には良いのかも知れないけれど。
あと、中西さんの転校の理由が滑舌って言うのも今ひとつな感じだったなぁ…、モノノフへのネタのつもりかも知れないけど別なのがあったんじゃないかなぁ…。

ここに来て「幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦」も良いけど個人的には劇中劇のパーフェクト版の銀河鉄道の夜が挿入された「幕が上がる」のデレクターズカット盤がみたいなぁ。
ももクリで公開されたツギハギ版ではなく、最初から最後まで最終盤の銀河鉄道の夜が観てみたい。

土日の興行成績だけで成否を論じるのはあまりにも早い感じだけど、一応同じような文化部系の映画の「くちびるに歌を」と劇場数が倍近くにも関わらず同じ程度の興行成績を上げてる現状はギリギリ合格点かな?
もともとこんな感じの成績かと思っていたけどさすがに直前の怒涛の宣伝攻勢は少しハードルを上げてしまったのかも。
アメリカンスナイパーやベイマックスはともかく、テラスハウスは強いねぇ。
やっぱり今時の娘はデートムービーはテラスハウスになってしまうのかなぁ…、うーん(^_^;)。